企業の公開文書としてのマナーその1

2011年08月09日

企業などの組織団体が公(おおやけ)に出す文書は、プライベートなものと違い、気楽に安易に出せるものではありません。お役所では正式な手続きを取り、押印でその承認プロセスを証明し、発行しています。公開、記載された文書は法的な拘束力も含め、読み手に対して「組織としての社会的約束」の意味を含み、ひとつひとつの末尾の表現に至るまで、責任とその組織に対するイメージを生み出します。

企業の公開文書としてのマナーその1

ブログという比較的安易に文書を公開できるツールができてから、ビジネスブログとして、プロモーション活動や告知活動に活用する企業が増えました。しかし、上記のような「組織としての社会的約束」を意識して活用している企業はどちらかいうと少ないようです。そのためか、いわゆる「炎上」という事件は後を絶たず、よかれと始めた宣伝活動が足を引っ張るということがあります。

ブログも含め、企業がインターネット上で公開する文書は、ひとつたりとも私信のような気軽で自由なものはありません。そこを忘れて、担当者の我流に任せて運用している企業のなんと多いことでしょうか?

ブログの多くのユーザーは個人のようですが、中には私たちのように企業で利用しているところもあります。ただ、中には企業としてどうなの?という内容のものもあり、読んでいるほうがハラハラどきどきするものもあります。

そこで、自戒も込めて、企業の公開文書としてのマナーをおさらいしたいと思います。

まず、なによりも第一に考慮しなければならないのは、各種法令・社会通念上問題のある表現を含まないということです。インターネットに明るいというだけで、経験の浅い若いスタッフに任せてしまった場合、起きがちなトラブルなのですが、各種法令・社会通念上、ご法度なことに対して、無頓着なばかりに信頼を失うケースがあります。基本的な文書作成の研修も受けさせずに、ブログ担当に任命してしまうことは避けるべきでしょう。

まず、第1回目は「法令に基づく表示義務」についてです。

通販サイトでなくても、ブログ上で注文を受け商品を発送するようなコンテンツを記載する場合は、必ず「法令に基づく表示義務」が発生します。通信販売事業は「特定商取引に関する法律」の規制を受けます。通常は店舗運営だけだとしても、ネット上で、メールや電話から注文を受け、代金をなんらかの方法で授受精算し(クレジットカード、振込、代引き・・・)発送するということを掲載する場合はこの対象になります。人気商品ゆえに、気を利かして、ネットで告知して電話で受付し、来店しなくても買えますよとするとこれはもう立派な通信販売の範疇に入ります。特商法11条1項および同法施行規則8条~10条に基づき、以下の内容について、サイト上のわかりやすく、どこのページからもアクセスできる位置に表示する義務が企業にはあります。


・商品・サービスの価格と送料

・代金支払いの時期と方法

・商品の引き渡し時期・サービスの施行時期

・商品・サービスの返品の可否と返品可能な場合の条件

・事業者名称、連絡先住所、電話番号、代表者氏名、業務責任者氏名

・申し込みの有効期限

・商品本体価格以外に必要となる費用の内訳と金額

・商品に瑕疵があった場合の販売者側に法的な瑕疵担保責任が定められている場合、その内容

・販売数量に制限がある場合、そのほか特別な販売条件がある場合、その内容

・商品・サービスについて詳細な説明を書面で求める場合の費用・送料


気楽に「お電話いただければ、代引きで発送しますよ」とコンテンツをアップしたいお店側の気持ちは理解できますが、上記のような法律の義務があることをお忘れなく・・・。

企業の公開文書としてのマナーについては、内容が多いため不定期な連載形式で掲載していきます。


Posted by あやとりいくた at 16:47│Comments(0)サイトのお作法
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あやとりいくた
合同会社あやとりのCEO/プロデューサー生田明子。SEOなんて言葉が日本でなじみがないころから検索エンジンでの上位表示実験を繰り返し、ノウハウを集積。日本でOverture、Adwardsの広告募集がはじまってまもなく出稿した経験を持つ。組織戦略に基づくWeb戦略立案を得意とする。大規模開発から個人事業まで幅広く支援。
1988年PC9801を触り始め、1995年にはインターネットの仕事にかかわっていました。資格は簿記2級、普通自動車免許、PADIオープン・ウォーター・ダイバーライセンスしかありませんが、実務経験は本当にハンパありません!あと司馬遼太郎と堺屋太一が大好き!な暇さえあれば読書な毎日


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